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掲載日:2011/04/10
掲載誌:朝日新聞
内容:ニュースの本棚 新藤 宗幸 東京市政調査会研究担当常務理事
首長・議会 二元代表制の行方
転機の地方自治
第2次大戦後の民主改革のなかでも大きな「成果」は、地方自治制度の改革であった。自治体の政治制度は、直接公選の首長と議会からなる二元的代表性を基本とし、両者の抑制と均衡でその意志を決めるとされた。
とはいえ、両者の権限関係は「強い首長・弱い議会」でもある。再議権、専決処分、予算の作成権、議会の招集権などは首長権限である。加えて戦後改革から1999年度まで機関委任事務制度が自治体行政に重きをなした。個別の仕事ごとに首長や行政委員会を法令で各省大臣の地方機関と位置づけ、大臣の指揮命令のもとに仕事を処理させるものであった。これは2000年4月の第1次地方分権改革で廃止され、自治体の自由度が高まった。だが、この改革以降、住民の自治体議会を見る眼は、徐々にきびしさを増した。
実際、機関委任事務体制のもとで議会権限が制約されてきたこともあって、議員は首長との政治的取引によって支持集団への利益の還元を指向してきた。また都道府県議会や大都市議会には、既存政党の系列化が進行した。一方で市町村議会は、地域有力者支配から脱却できていないところが多い。いきおい住民の眼に議会は、仲間内だけの閉鎖的な機関 であり、課せられた行政のチェック機能を果たしていないと映る。
地域政党の登場
西尾勝『地方分権改革』は、第1次地方分権改革の意義や残されている課題を論じるが、議会不信論は不要論ではないとの立場から、議員構成や報酬の見直し、選挙制度の改革、会期制度の廃止と夜間開催などを提起する。
近年では議会基本条例を制定し議事運営などを改めようとする議会も現れているが、改革の進捗度は遅い。最近の議会改革の動向を知るには、日経グローカル編『地方議会改革の実像』が役立つ。また、議員の報酬やその他の費用、議会運営の実態などを、事例を交えて論じたものに竹下譲『地方議会 その現実と「改革」の方向』がある。
ところで、近年、名古屋市や大阪府にみるように、首長が自ら「地域政党」なるものを立ち上げ、議会に自らの意に叶う政治勢力を築こうとする動きが顕著である。実際、3月13日の名古屋市議選では、「減税日本」が第1党となった。4月10日投開票の大阪府議、大阪市議選挙でも「大阪維新の会」が過半数獲得を目指している。
これは二元的代表制が予定する、民意を自治体政治に反映させる多元的チャンネルの否定に通じかねない動きである。ただし、首長の政治権力の確立指向に「大衆的支持」があるのは、議会が自己改革を怠っているからだといってよい。議会は変わりうるのか、注目されよう。
画一から多様へ
こうした動きと微妙に関わりながら、自治体政治制度を国政に倣った「議会内閣制」に改めるべきとの構想も提起されている。画一的制度から多様な制度への転換は、これまでにも指摘されているが、現実味を増すかもしれない。だがその是非を論じる際に意外と知られていないのが外国の制度だ。比較地方自治論として山下茂『体系比較地方自治』がある。日本の地方自治のあり方を考えるのに貴重な文献である。
戦後65年を経過した現在、画一的な自治制度が転換期にあることは確かである。
掲載日:2010/12/28
掲載紙:地域政策 2011新年号 No.38
内容:
2011年4月の統一地方選挙は、地方議会のあり方が問われることになる
評者 岩崎 恭典(四日市大学総合政策学部教授)
2010年は、地方議会がその本質を問われる事例が多い1年であった。例えば、阿久根市では、半年間、市議会は開かれず、首張は専決処分を繰り返した。議会招集権が議長にないことが問題になり、専決処分が実はやりたい放題だと法が想定していないことが判明した。また、議会がいうことを聞かないと、大阪府知事や名古屋市長は、議会を敵視し、名古屋市では市長自ら議会解散の直接請求を主導し、現在、両人とも、自ら地域政党をつくって、議会の多数派形成を目指そうとしている。名古屋市議会は、この動きに対して、議員報酬の減額・議員定数見直し等の議会改革案を打ち出さざるを得なくなっている。
果たして、地方議会とは、阿久根市長がいうように、「単に文句をつけ、反対するだけ」なのだろうか。それならば、大阪府知事の言うように、「地方も議院内閣制を導入すべき」なのだろうか。
イギリス研究をベースに、日本の地方議会の在り方について発言を続けている筆者は、本書では、このような逆風の中だからこそ、二元代表原理に基づいて、地方議会は、政務調査費や視察の意義を、議員自ら、住民に説明しなければならないと説く。また、独自の議会規則をつくれば、かなりの改善ができると説く(145頁)。例えば、「一般質問」も、個人のパフォーマンスではなく、合議制の特質を活かして、首長に政策の取り下げや変更、新規提案を迫るような、議員同士の議論として変えていくことができるはずだという。現在の仕組みを、運営によって変えるだけで十分だという主張である。
とはいえ、その変える視点は「これまでの間接民主主義が議員に特権を与えるものであったのに対し、イギリスのように、住民の意見を聞く議会制民主主義」の観点に立つこと(284頁)であるという。議員自らが、果たして議会運営を変えることができるのか。その結果は、2011年4月に実施される、44都道府県議会、全ての政令指定都市議会、そして、750を超える市町村議会の選挙で有権者から評価されることとなろう。
掲載日:2010/7/30
掲載紙:自治日報 3面
内容:
「現在の地方議会の最大の欠陥は住民の信頼を失っていること。」本書は、その信頼回復のための「議会改革」のあり方を実態・理論の両面から具体的に提案したもの。
著者は、現在流行りの「議員定数」「議員報酬」削減を批判する。同じ公選でも、首長は「地方行政」の長でしかなく、多様な住民の意向をまとめる「地方自治」を実践できるのは「多数のメンバーを擁する議会だけだ」と強調。「主権者の様々な意向を調整するため一定数の議員を代表者として議会に送り出し」ている議員の定数を議会だけで決めていいのかとまで言う。併せて、「良き人材を集めるには高給も重要だ」と指摘。無報酬が多い英国の地方議員が生活保護で議員活動している実態も紹介する。
一方で、住民からそっぽを向かれる議会運営の実態も批判する。多くの議員は「一般質問」に力を入れ、議場の「対面方式」化などの工夫もみられるが、「一般質問」は多種多様な住民の意向がある中では「一人の議員の意見」でしかないと指摘。このため、議員一人ひとりが行政側に質問し、回答を得た段階から議員全員で問題点を洗い直し、優先順に問題点の改善策を議員全員で検討するなど「議会は合議制」の原則復帰を提案。これで「住民の意見に従う」「住民全体の利益を図る」の両立も可能となるという。さらに、大切なはずの議案審議も賛成者・反対者が「お互いそっぽを向きながら勝手なことを言うだけ」と批判。そして、これから「議会沈滞の最大の原因は標準会議規則にある」と指摘し、独自の会議規則づくりを提案する。
また、イギリス地方政治の専門家でもある著者は、市の中にある数百人規模からのパリッシュの政治を紹介。課税権もあるパリッシュでは、公選議員が住民も参加しながら様々な課題を議論し、市議会はこのパリッシュの意見を聴取してから議論する。この「議会制民主主義の原点」が活きているため、イギリスでは、今も住民投票や首長公選に消極的だと解説する。
地域主権改革で地方議会の役割が強調され、総務省でもそのあり方が検討されている今、日本の自治体議会の実態と課題を浮き彫りにする本書は、地方議員はもちろん自治体関係者必読の書といえる。
掲載日:2010/8/15
掲載紙:地方自治職員研修 2010 8 p.96
内容:
住民の信頼を回復する「議会改革」の姿
今般、住民の合意に基づき自治体の経営を健全化することが喫緊の課題になっている。その「判断」にあたって重要になるのが地方議会議員の活動や能力だが、住民からの不信感が強いというのもまた現状だ。本書では住民からの信頼を回復する「議会改革」を検討することをねらいに、「議会と住民」「議会の仕組み」という点から改革のあり方を検討する。また、住民自治を基盤とするイギリス議会の実態検討から住民の意向をいかに汲みとるべきか、議員と金の関係についても取り上げる。
掲載日:2010/8/1
掲載紙:公明 p.59
内容:
新川達郎氏が指摘しているように、地方自治体では議会改革の動きが広がり始めている。その参考になるのが、「住民の信頼を回復するための『議会改革』」を緊急に行うべきだと提言している竹下譲自治体議会政策学会会長の新刊『地方議会〜その現実と「改革」の方向〜』(イマジン出版)。
本書では、議員報酬や政務調査費といった「議員とカネ」の問題から、議会を活発化させる一般質問や運営のあり方まで、議員が“住民の代表”としての任務を果たす上で直面するであろう課題を個々具体的に取り上げ、改革の方向を提示している。
また、議会制民主主義の母国ともいわれるイギリスの議会の実態を検討し、住民の意向を如何にくみ取るべきかを探っている。
文章が平易で、日ごろ政治との関わりが少ない一般読者にも配慮された構成となっており、私たちの市民力向上に資する一冊だ。
掲載日:2010/7/26
掲載紙:公明新聞 4面
内容:
地方自治の本質示す
議会関係者必読の書
地方分権の流れが進む、昨今、地方議会の役割と責任はますます大きくなってきている。
その一方で、現在の地方議会は住民の意向をあまり反映していないのではないかと指摘する著者は、「住民の信頼を“回復”することが緊急の課題」と定 め、そのためにはさまざまな議会改革が必要であることを説く。
その改革の方向を平易な筆致で明確に示したものが本書であり、議員報酬や海外視察、政務調査費などについての検討や、一般質問の意義と問題点、地 方議会の運営の実態など、さまざまな課題を具体的にとりあげて解説している。
また、“住民自治”を基板としているイギリスの議会の実態についても触れ、どのようにして住民の意見を十分にくみ取り、論議を重ねた上で政策を決 定しているのか、歴史的経緯を踏まえながら紹介している。
本書は、議会制民主主義の本質や地方自治のあり方を正しく理解する上で大いに参考になる一冊であり、特に議会関係者にとって必読の書である。
掲載日:2010/7/5
掲載紙:日経グローカル No.151
内容:
地方議会の本質を平易な文章で説いた議会人必読の書。ただ、長年の慣習に縛られている古参議員は拒否反応を起こしかねない。むしろ、議会の素人が読めば、「議会制民主主義とは本来こういうものか。議会は遠い存在で、信頼できないと感じていたが、その理由が分かった。」と納得すること、請け合いである。
議会改革に意欲的な議員にとっても「目からウロコ」の箇所は多い。例えば、議員が最も力を入れている「一般質問」。行政側に疑問をぶつけ、追求できる晴れの舞台だが、結局は言い放しに終わり、政策に反映されることは少ない。なぜか。
一般質問を政策に生かすには、議員個人の意見を議会の意思にまで高める必要がある。それには、議員同士の議論が前提になるが、議員間の自由討議を実施している議会は数えるほどしか無いのが実態だ。つまり、議員全員の合議で意思を決定する「合議制の機関」としての機能を果たしているとは言えない。
この点で、議会改革の1つとして質問席と執行部席が向かい合う「対面方式」の導入が盛んだが、著者は、一般質問は行政側への質問であるだけでなく、それ以上に同僚議員に対する問題提起と位置づけるべきで、従来の「縁談方式」の方が理にかなっている、と指摘する。
このほか、どこの議会も審議の仕方が同じで、住民に見えないところで結論が決められるのはなぜか。住民代表とは何を意味するのか。政務調査費や議員報酬、定数のあり方は———。本場英国も含め豊富な事例や歴史的経緯を紹介しながら、網羅的に解説。「すべての答えがこの一冊に」(帯の文句)詰まっている。
掲載日:2010/7/1
掲載紙:地方議会人 2010 7月号 p.48
内容:
○議会とはなにか!
○議員とはなにか!
○現実は変えられるか!
○今進めている議会改革は間違っていないか?すべての答えがこの一冊に
昨今、地方分権が進み、自治体運営への関心が高まり、特に行政機関・職員や議会・議員の意識改革が強く求められている。
税金を無駄にせず、行政サービスを充実させたいと多くの識者が厳しい指摘を重ねているが、著者は「自治」を実現するために必要な議会の存在に早くから注目し、長年にわたり自治体議会の改革と活性化に取り組んできている。
多くの事例に即しながらその改革の方向を明確に著した、自治と議会制民主主義を説きながら、わかりやすく面白い、類書の無い一冊である。
掲載日:2010/6/5
掲載紙:政府刊行物新聞 4面
内容:
議会とはなにか!議員とはなにか!現実は変えられるのか!今進めている議会改革は間違っていないか?すべての答えがこの1冊に収まっている。住民自治と議会制民主主義の確立に必読の書。
掲載日:2010/6/1
掲載紙:月刊 ガバナンス 6月号 通巻134号 p.132
内容:
自治体議会、そして日本がたびたび規範とするイギリス政治に造詣の深い筆者による「議会改革」の方向性を示した書。「議員と"お金”」「議会と住民」「議会の仕組み」「地方自治の代表は議会」「イギリスの議会制民主主義」の5部で構成されているが、中でも興味深いのがパリッシュ議会だ。日本で議会制民主主義というと住民に関係なく議員だけで審議し、物事を決めることを想定しがちだが、バリッシュでは「住民の意見を聞くことが前提になっている」のだ。
いま多くの自治体議会で「議会改革」が進められている。「報酬削減」「定数削減」にとどまることなく、住民の信頼を回復するための議会改革がいまこそ求められる。
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