1 いまでも機関委任事務を続けていませんか
機関委任事務は明治以来の仕組みを温存
各省大臣と知事と市町村長は上司と部下の関係
議会や監査委員は部外者扱い
機関委任事務の廃止ははじめてではない
ピラミッド形態から水平的広がりの構図へ
2 法定受託事務は「自治体の事務」なのか
機関委任事務と変わらない仕組みを温存
法定受託事務は条例制定が可能
もともと想定していたのは国の事務
法定受託事務と自治事務はやはり違うもの
固有の自治事務領域以外の領域の事務
自治体と国の役割分担の原則を素直に読むべき
法定受託事務が増加するのをけん制しよう
3 国から自治体への関与のルールができた
地方自治法の一般ルール法が国の立法権を制約する
関与の基本類型を提示して個別法を制約する
個別法抜きでも関与できる
市町村に対する関与は都道府県の執行機関が行う
行政手続き法を範とした関与手続きのルール化
事後の司法判断の保障で法治主義は貫徹
国庫支出金は関与のルール外
4 自治体から国へ訴訟が起こせる
分権改革は自治体の成人式?
法主体同士の関係でないと裁判所が取り合わないのが原則
法主体同士の関係でなくても裁判所が取り合ってくれる場合がある
法主体同士の関係なら訴訟が起こせるはず
国等の関与に関する訴訟は期間起訴なの?
国等の関与に関する訴訟に臆することなかれ
5 係争処理の第三者機関は中立・公平な
裁定機関から勧告機関へ
国地方係争処理委員会は総務省の所管
自治紛争処理委員の審査は東京で行われる?
係争処理は行政内部の争いではない
6 市町村と都道府県の対等関係を築こう
都道府県庁の中間管理職的立場はなくなった
上下関係の色彩のある都道府県の役割を縮減
都道府県条例と市町村条例の間に上下はない
都道府県と市町村の間にもあった機関委任事務
対比関係に基づく事務委託は活用されない
都道府県の職員の代わりをされられていた市町村職員
関与の挟み撃ちに逢う都道府県
都道府県・市町村関係の上乗せルールの条例化
7 条例制定権が拡大した
法令違反かどうかは法令の解釈次第
条例は政・省令にも違反してはならないのか
法律による条例委任も所詮は限界付き
法令の立法の原則と解釈運用の原則ができた
自治事務立法はどこまでが国の役割か
条例委任は条例制定権の創設か確認か
法令事務条例か自主条例化
法定受託事務についても遠慮は要らない
条例づくりを冒険しよう
8 住民みんなで「自治基本条例」をつくろう
条例は住民がみんなで決める約束事
憲法は国の政治設計図
自治基本条例の原型は「ホーム・ルール・チャーター」
自治基本条例で「公共」を再定義する
自治体の「政治設計図」の中心は住民
自治体の「信託のかたち」は住民参加が基本
行政監視も住民参加で行う
条例主義を基本原則に掲げよう
自治基本条例は自治体の最高法規
自治基本条例の制定手続きを条例で定める
9 三位一体の改革がこの国のかたちを変える
4兆円だけでは未完の改革に終わる
自治体は仕事が多いのに税収が少ない
自治体の仕事量は地方財政計画で決められる
補助金の削減は自治体の自由度を高める
負担金は事務の義務づけの縛りのほうが問題
自治体の借金残高は200兆円に達する
元利償還の約束手形は不渡りになるかも
税は住民との対話の手段
2004年度は1兆円の削減
中央省庁をお金の分配業から解放する
財政調整の仕組みが残された課題
10 個別法の地方分権に挑む
関与の一般ルール法が生きていない
係争処理が仕掛けられないとなると直接執行か
役割分担の原則も生きていない
構造改革特別区域よりも役割分担の原則
規律密度を高くしているのは政・省令
枠組法か標準法か
訓示規定ではおかしい
11 次のステップは住民分権
条例中の「市」や「町」は誰のこと?
住民訴訟の構造がうまく言い当てていた
自治体職員と住民との不幸な対立の構図
対立の構図は日本の伝統?
うまく行っていないことも情報共有
住民に決定を丸投げする
直接請求は重いもの
住民分権へ
12 分権時代は政策法務とともに
伝統的法務は中央省庁の法律解釈の枠の中
法制執務は改正内容を分かり難くさせる技術?
政策法務は自治体の法令解釈権とともに
地方分権が政策法務の世界を広げる
政策法務は理論と実務を射程に
政策法務はPlan→Do→Seeサイクルで
Planでは立法事実を備えているか等の事前評価
Doは条例で定めた行政手法の執行
See段階の訴訟にマイナス・イメージは禁物
政策法務は現場の実践から生まれる
法律に強く政策法務を実践するタイプの職員を目指そう