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パリッシュにみる自治の機能 

パリッシュにみる自治の機能 
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書籍 パリッシュにみる自治の機能 

─イギリス地方自治の基盤─

著者竹下 譲
肩書き神奈川大学教授
発行日2000年8月5日
定価2750
本体価格2500
サイズA5判
ページ数274
ISBN978-4-87299-239-7

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目次

序論 ?“自治体”としてのパリッシュ


第1章 パリッシュの前史

1 「公開教会区」と「任命教会区」

2 都市部での教会区の消滅

3 農村部の教会区の衰頽(すいたい)

4 パリッシュ政府の創設 ?および、「村」「町」の創設?



第2章 パリッシュの発足

1 パリッシュの権限

2 パリッシュ議会の最初の選挙

3 パリッシュの住民総会(カルデコートを中心に)

4 パリッシュ議会 ?期待と現実?

5 パリッシュの活動



第3章 パリッシュの法的権限

1 パリッシュ議会の権限の拡大

2 パリッシュ議会の統制 ?内部チェックと外部チェック?

3 “権限踰越”と“2ペンスの自由” ?パリッシュの裁量権?



第4章 パリッシュと法律の制定

1 全国パリッシュ協会の設置

2 全国パリッシュ協会の復活

3 利益集団としてのパリッシュの意見

4 イギリスの議員立法

5 法律制定のための戦略



第5章 パリッシュの実際の活動

1 カルデコートの活動(前半期)

2 一般的なパリッシュの活動(第2次世界大戦まで)

3 カルデコートの活動(後半期)

4 行政機関としての活動(現在)

5 住民代表団体としての活動



第6章 パリッシュ議員と選挙

1 パリッシュの有権者

2 パリッシュ議員の立候補資格

3 「挙手による投票」とその廃止

4 ムラのリーダーシップ

5 選挙の活性化

6 コオプション(議員による議員の選出)

7 選挙に対する有権者の関心(投票率)



第7章

1 パリッシュの規模

2 パリッシュの議員の数

3 県やディストリクトの議員との兼務

4 議会の開催と委員会の活用

5 書記官の働き

6 議会と住民の参加



第8章 大ロンドンの創設とパリッシュ

1 ロンドンの膨張

2 ハーバート委員会の設置

3 ハーバート委員会の答申

4 ロンドンの改革



第9章 地方制度の改革(1972年法)とパリッシュ

1 特別市の拡大

2 レドクリフェ・モード委員会の勧告

3 地方自治体の反応

4 労働党と保守党の姿勢

5 1972年法の成立

6 “タウン”の出現

7 大都市圏のパリッシュ

8 1980年代・90年代の改革



第10章 住民自治とパリッシュ

1 住民の代表機能

2 カルデコート・パリッシュの戦略

3 議会制民主主義と直接民主主義



索引

内容紹介

真の地方分権を実現するために必読の書

イギリス最少の地方自治体の単位、パリッシュを本邦初めて、詳しく紹介した待望の発刊。

議会や課税権を持つパリッシュは自ら自治権を住民の力で中央政府から獲得してきた。住民自治の原点を、わかりやすい文章と各地のパリッシュの議事録や現地の資料を駆使して紹介している。
議会の議論・裁決が住民にオープンでだれでも参加できるパリッシュ。住民投票と議会の関係は? 議会制民主主義の意義とは? 答えは本書にある。

書評

掲載日: 2000/09/05
掲載紙: 政府刊行物新聞  3面
内 容:

「パリッシュ」は、イギリスの地方自治の基盤となる自治体であり、住民自治・議会民主主義の原点、本物の地方自治を最高に実践している自治体、パリッシュが手にした自治は自らの力で獲得してきた??といわれている。本書は、このパリッシュについて、イギリスの分権・住民自治の実施をつぶさに調査した結果に基づき、詳しく、またわかりやすく紹介している。


掲載日: 2000/10/13
掲載紙: 都政新報 6面
内 容:

「パリッシュ」とは聞きなれないが、地域で確立してきたイギリスにおける地方自治の最も小さな単位のことで、議会、住民総会など議会制民主主義の機能を持ち、課税権もある。

世界の地方自治制度、特にイギリスの自治制度に詳しい竹下譲教授は、パリッシュの議事録を始め現地の文献を活用、調査も綿密に行い、民主主義の母と言われるイギリスの基盤を作っているパリッシュを分かり易く紹介、解説している。パリッシュが協会区を原点に地域住民の努力で自治を実現してきた軌跡を追いながら、日本の地方分権のあり方に展望を示そうとしている。パリッシュの自治権は自ら中央政府から勝ち取ってきたもので、真の住民自治とは何かを問うている。

イギリスでもこれほど本質的なパリッシュの研究は無く、注目されている。また、その活動を追いながら、イギリスの政治の仕組みや歴史、現状がよくわかる点も特徴といえる。昨今、近隣政府論がコミュニティ作りや自治体の広域化で議論されているが、本書はその原点が分かりやすい。注釈、図表やグラフも豊富で、読みやすく、行政・議会関係者必読の書。


掲載日: 2000/11/27
掲載紙: 公明新聞  4面
内 容:

イギリスには、パリッシュと呼ばれる自治体がある。もともとパリッシュは、協会が布教や信者の指導・監督の便宜のために設けた区域であるが、次第に宗教的な色彩が薄れ、十九世紀末には公選議会(人口 200人未満の場合は住民総会)を持つ近代的な自治体となった。

しかし、その規模は、人口ゼロから5万人までと大きな格差がある。また、機能についても、全く何もしないパリッシュからホールを持つパリッシュまで様々である。一つ一つのパリッシュが個性的過ぎるため、最近まで、パリッシュの総数というような、基本的な事柄さえわからない状況にあった。わが国でパリッシュの研究をしようとする人が、ほとんどいなかったのも当然である。

著者は、このパリッシュの研究に十年間も没頭した。わが国にはパリッシュの資料が皆無に近いから、著者はイギリスにしばしば行き現地調査を実施した。ケンブリッジシャー県に住んでいる、知り合いのイギリス人に依頼して、定期的にパリッシュの動きを報告してもらった。パリッシュの百年間にわたる記録にも目を通した。その結果、パリッシュは、普通の自治体にない特徴を持っていることが明らかとなってきた。

例えば、多くのパリッシュ議会では、住民が議会にいつでも出席でき、自由に議員と議論を交わす機会が与えられている。パリッシュ議会は、住民に利害関係のある開発許可や建築許可について、権限を持つディストリクト(パリッシュの上部団体であり、わが国の市町村に相当する)に意見を言う際には、住民総会を開いて住民の意見を聞いておく。そして、ディストリクトが自分達の意見を聞いてくれない時は、何度でも住民総会を開き、ディストリクトに圧力をかける。

パリッシュでは、まさに本物の“議会民主主義”が行われている。著者は、「日本では、最近、地方分権が騒がれているが、真の地方分権を実現するためには、住民の健全な意見を組み込む装置が必要である。その際、このイギリスのパリッシュは非常に重要な検討材料になるのではなかろうか」と考えている。

これだけの労作に触れることは珍しい。本書は専門書であるが気楽に読める。地方分権の実現のため、この本が大いに活用されることを期待する次第である。

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