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自治体法務の最前線

自治体法務の最前線
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COPABOOKS 自治体法務の最前線

現場からはじめる分権時代

著者堤中 富和
発行日2004年7月26日
定価1404
本体価格1300
サイズA5判
ページ数58
ISBN978-4-87299-395-0

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目次

1 いまでも機関委任事務を続けていませんか

機関委任事務は明治以来の仕組みを温存

各省大臣と知事と市町村長は上司と部下の関係

議会や監査委員は部外者扱い

機関委任事務の廃止ははじめてではない

ピラミッド形態から水平的広がりの構図へ



2 法定受託事務は「自治体の事務」なのか

機関委任事務と変わらない仕組みを温存

法定受託事務は条例制定が可能

もともと想定していたのは国の事務

法定受託事務と自治事務はやはり違うもの

固有の自治事務領域以外の領域の事務

自治体と国の役割分担の原則を素直に読むべき

法定受託事務が増加するのをけん制しよう



3 国から自治体への関与のルールができた

地方自治法の一般ルール法が国の立法権を制約する

関与の基本類型を提示して個別法を制約する

個別法抜きでも関与できる

市町村に対する関与は都道府県の執行機関が行う

行政手続き法を範とした関与手続きのルール化

事後の司法判断の保障で法治主義は貫徹

国庫支出金は関与のルール外


4 自治体から国へ訴訟が起こせる

分権改革は自治体の成人式?

法主体同士の関係でないと裁判所が取り合わないのが原則

法主体同士の関係でなくても裁判所が取り合ってくれる場合がある

法主体同士の関係なら訴訟が起こせるはず

国等の関与に関する訴訟は期間起訴なの?

国等の関与に関する訴訟に臆することなかれ


5 係争処理の第三者機関は中立・公平な

裁定機関から勧告機関へ

国地方係争処理委員会は総務省の所管

自治紛争処理委員の審査は東京で行われる?

係争処理は行政内部の争いではない


6 市町村と都道府県の対等関係を築こう

都道府県庁の中間管理職的立場はなくなった

上下関係の色彩のある都道府県の役割を縮減

都道府県条例と市町村条例の間に上下はない

都道府県と市町村の間にもあった機関委任事務

対比関係に基づく事務委託は活用されない

都道府県の職員の代わりをされられていた市町村職員

関与の挟み撃ちに逢う都道府県

都道府県・市町村関係の上乗せルールの条例化


7 条例制定権が拡大した

法令違反かどうかは法令の解釈次第

条例は政・省令にも違反してはならないのか

法律による条例委任も所詮は限界付き

法令の立法の原則と解釈運用の原則ができた

自治事務立法はどこまでが国の役割か

条例委任は条例制定権の創設か確認か

法令事務条例か自主条例化

法定受託事務についても遠慮は要らない

条例づくりを冒険しよう



8 住民みんなで「自治基本条例」をつくろう

条例は住民がみんなで決める約束事

憲法は国の政治設計図

自治基本条例の原型は「ホーム・ルール・チャーター」

自治基本条例で「公共」を再定義する

自治体の「政治設計図」の中心は住民

自治体の「信託のかたち」は住民参加が基本

行政監視も住民参加で行う

条例主義を基本原則に掲げよう

自治基本条例は自治体の最高法規

自治基本条例の制定手続きを条例で定める


9 三位一体の改革がこの国のかたちを変える

4兆円だけでは未完の改革に終わる

自治体は仕事が多いのに税収が少ない

自治体の仕事量は地方財政計画で決められる

補助金の削減は自治体の自由度を高める

負担金は事務の義務づけの縛りのほうが問題

自治体の借金残高は200兆円に達する

元利償還の約束手形は不渡りになるかも

税は住民との対話の手段

2004年度は1兆円の削減

中央省庁をお金の分配業から解放する

財政調整の仕組みが残された課題


10 個別法の地方分権に挑む

関与の一般ルール法が生きていない

係争処理が仕掛けられないとなると直接執行か

役割分担の原則も生きていない

構造改革特別区域よりも役割分担の原則

規律密度を高くしているのは政・省令

枠組法か標準法か

訓示規定ではおかしい


11 次のステップは住民分権

条例中の「市」や「町」は誰のこと?

住民訴訟の構造がうまく言い当てていた

自治体職員と住民との不幸な対立の構図

対立の構図は日本の伝統?

うまく行っていないことも情報共有

住民に決定を丸投げする

直接請求は重いもの

住民分権へ


12 分権時代は政策法務とともに

伝統的法務は中央省庁の法律解釈の枠の中

法制執務は改正内容を分かり難くさせる技術?

政策法務は自治体の法令解釈権とともに

地方分権が政策法務の世界を広げる

政策法務は理論と実務を射程に

政策法務はPlan→Do→Seeサイクルで

Planでは立法事実を備えているか等の事前評価

Doは条例で定めた行政手法の執行

See段階の訴訟にマイナス・イメージは禁物

政策法務は現場の実践から生まれる

法律に強く政策法務を実践するタイプの職員を目指そう

内容紹介

分権を創る!自治体を変える!
現場マルチプレーヤーがおくる渾身の一冊!

大津市のベテラン職員であると同時に法務も担当。経験を踏まえて執筆された本書は、研究者の文章には見られない迫力があり、十分な説得力を持つ

書評

掲載日: 2004/08/14
掲載紙: 朝日新聞 (第2滋賀) 27面
内 容:



地方分権テーマ 本にまとめ出版


地方分権をテーマにした著書「自治体法務の最前線」を、大津市交通政策課参事の提中 富和さんが出版した。三位一体改革や、国・県と市町村の関係、業務分担の問題などに焦点を当てている。

98年ごろから自治体法務を考える研究会や学会に入り、研究を続ける一方、職員向研修の講師も務めてきた。02年から県市町村職員研修センター発行の季刊情報誌に書いた連載をもとに、これまでの講義や研究の内容を一冊にまとめた。

冒頭には「分権改革の狙いは自治体への国の関与を縮減し、国と自治体の関係を対等に転換させること」と書いた。自治体職員の意識改革を進めたいとの思いからだ。00年04月に地方分権一括法が施行されたが、財政の分権は進まず、自治体職員の中にも分権に対する感覚が足りないという。

「指導的立場の国や県ではなく、『足を踏まれている側の』市町村職員の視点に立った。自治体側から声を出さないと変わらない」と話す。






掲載日: 2004/10/15
掲載紙: 月刊 地方自治職員研修 第37巻 No.10 通巻518号 [発行:公職研] p.94
内 容:


政策法務から追求する
自治体現場の分権実現


分権一括法が施行されたが、現場は変わらないと言われる。それは、自治体、そして職員が変えようとしないからではないか、と本書は問題提起する。今でも機関委任事務を続けていないか、「法定受託事務は自治体の事務」と言われるままでよいのか。個別法を地方分権化するにはどうしたらよいか、と課題を投げかける。職員の努力では、解決しない課題も多いが、あるべき姿を見据えた上で、日々の職務に取組まなければ分権は現場の現実とならないことを本書でぜひ学んで欲しい。






掲載日: 2004/10/01
掲載紙: 自治日報 3面
内 容:
「今でも機関委託事務を続けていませんか」?。分権行革で条例制定権が拡大し、国から自治体への関与のルールもできたが、本書は、大津市役所の法務担当という著者が、現場から自治体の立法のあり方、具体的なノウハウを分かりやすく紹介したもの。

分権一括法を受けて「自治体から国への提訴が起こせる」「係争処理の第三者機関は中立・公平なレフェリーたりうるか」「市町村と都道府県の対等関係を築こう」など、同法の内容や課題などを分析した上で、「住民みんなで自治基本条例をつくろう」と自治体の最高法規づくりを提唱。また、「伝統的法務」は中央省庁の法律解釈の枠の中でしかなく、「法制執行」は改正内容を分かりにくくさせる技術だと指摘。自治体の条例制定権を拡大する「政策法務」の必要性を強調するとともに、その具体化として「仮説→実験→検証」の視点から、「立法事実を備えているか等の事前評価」「実効性確保手法を当たり前のこととして設計」「一定期間経過後は必ず評価する制度を創設する」などの留意点を紹介する。法制担当以外の地方公務員にも一読を進めたい書である。


掲載日: 2005/03/10
掲載紙: 自治実務セミナー Vo.44 No.3 Total No.513 [発行:第一法規] p.77
内 容:


自治体を元気にする知恵と情熱が満載!


長く自治体の法規・訴訟事務を担当され、雑誌等で研究成果を発表されてきた提中さんが、一冊の本をまとめられた。堅いテーマのようだが「提中マジック」にかかっておもしろく、しかも実務の参考になる本に仕上がった。「そうだよなー」などとひとり言を言いながら、一気に読み終えてしまった。このところ元気の無い自治体も増えているように思われるが、本書は自治体関係者が元気を取り戻すための「良薬」になるのではないか。

私の見るところ、この本の「効能」は四つある。
一つ目は、2000年の分権改革や政策法務の全体像がよくわかることだ。全100頁余りのブックレットだが、分権改革による法令解釈権の変化から、条例制定権の拡大、自治基本条例、さらに三位一体の改革まで、その改革は「自治体の成人式」、都道府県は「中間管理職」、自治基本条例は「政治・行政の設計図」、税は「住民との対話の手段」といった一流の表現もあって、楽しく読むことができる。

二つ目は、自治体現場の目線で何が変わったか、何が大切かをよく理解できることだ。たとえば自治体にとって重要な意味を持つ「自治体紛争処理委員」の制度がまだ明確にされていないことや、個別法や政省令の仕組みが自治体の裁量を拘束していることなど、自治体実務に精通した著者ならではの指摘や分析に教えられることが多い。

三つ目は、地方分権や自治体政策を進めるためのアイディアや提案が数多く得られることだ。たとえば、都道府県と市町村の間の紛争をより実効的に解決するための共同機関の設置を提案したり、監査委員を住民の目線を大切にするため住民が選挙した候補者の中から選任する制度を提案するなど様々なアイディアが盛り込まれていて、参考になる。

四つ目は、地方分権や自治体の自立にかける情熱やエネルギーが湧いてくることだ。本書を読むと、著者の地方分権を進めようとする気迫や熱い想いが伝わってくる。何かと閉塞感がただよう昨今の自治体だが、本書にはそうしたエネルギーが詰まっているように思われる。

もちろん、「良薬」と言っても多少の「使用上の注意」は必要になると思われる。

一つは、学説や判例の紹介が少なく、著者の見解の背景や他の見解をより深く勉強したいと言う方には物足りないかもしれないと言うことだ。条例制定件に関する見解に見られるように、著者の見解は最新の研究成果に基づいているものであり、このことはこの分野の研究者なら理解できるのだが、一般の読者にとってはその根拠や背景が分からないとやや突飛な論議のように感じられるかもしれない。この点は入門書の宿命ともいえるが、参考文献を提示するなどの工夫はあっても良かったのではないだろうか。

もう一つは、著者の熱い想いが前面に出たためか、やや性急ではないかと思われる見解や論述が見られることだ。たとえば、法律で委任した範囲をこえる条例対応も可能とする指摘(26頁)や、自治基本条例について下位の条例がこれに違反すれば無効となるとの規定を入れることで最高法規性が明らかになるとする見解(77頁)地方自治法は憲法付属法であり個別法より一段上の法律のはずだという見解(102頁)などは、異論もありうるところだから、もう少し詳しい論述をした上でないと誤解を与えるかもしれない。これらの点は、精力的な著者であれば新たな業績で応えてくれるかもしれない。

このような注意書きは必要だとしても、本書が分権改革と自治体法務を根付かせるための格好の書であることは間違いない。広く本書の「服用」をお勧めする次第である。




掲載日: 2004/10/01
掲載紙: ガバナンス 10 No.42 [発行:ぎょうせい] p.134
内 容:

滋賀県の自治現場に勤務しながら自治体法務の今後のあり方を提起している。「十分な説得力」と上智大・北村教授も太鼓判の筆致。


掲載日: 2004/9/20
掲載紙: 政府刊行物新聞 4面
内 容:

地方分権時代に公務を担当する職員には、「自分の頭で考える」という、以前とは比べものにならない責任が負わされている。どのように考え、どう行動すべきか、自治体毎に試行錯誤して自分たちの方法を見付けなければならない。そのヒントとなり得るのが本書である。

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